音程とは距離である
「音程が合ってない」などと日常会話で使いますが、和声学で「音程」というとインターバル、すなわち、音と音との距離のことです。日常会話で言うところの「音程」は「音高」の意味で、もしくは、「スケールの主音からの音程」ということになるのでしょう。
音程は1 originである
さて、この音程についてですが、ユニゾン(同じ音高)の場合で「完全一度」(オクターブ違いのときは「完全八度」)と言いますね。1から数えはじめることになっています。
距離なのに1から数えはじめるっておかしくないですか?おかしいです。距離なので本来はゼロから数えるべきです。
そうは言ってもそうなっているものは仕方ありませんね。
このように1から数えはじめることを「1 origin(いち・オリジン)」と言います。普通距離は「0 origin(ゼロ・オリジン)」なわけですが、1 originになっていると0 originの場合といろいろ違ったことが起きてきます。
例えば、足し算が違ってきます。普通、2 + 3 = 5ですよね。ところが、これが1 originだったらどうでしょうか。2 + 3 = 4になります。1 originというのは、1から数えはじめてあるので1減らして考えないといけません。2 + 3と書いてあったら、0 originで言うところの1 + 2 の意味です。そうすると1 + 2 = 3になります。ところが計算結果も1 originで表記しないといけないため、1足して表記しないといけないです。その結果、2 + 3 = 4になります。
つまり1 origin表記の2数の足し算は0 originで足し算したものから1引いた値が答えになります。(同じ理屈で1 origin表記の3数の足し算は0 originで足し算したものから2引いた値が答えになります。以下、同様…。)
音程の足し算の世界
ここまでわかっていれば、
- 短2度 + 長7度 = 完全8度
- 長2度 + 短7度 = 完全8度
- 短3度 + 長6度 = 完全8度
- 長3度 + 短6度 = 完全8度
- 完全4度 + 完全5度 = 完全8度
みたいに、2+7=8とか3+6=8、4+5=8なのは納得できるかと思います。
また、短 + 長 = 完全って言うのも覚えておいて損はないでしょう。
- 長2度 + 短3度 = 完全4度
- 長3度 + 短3度 = 完全5度
- 長6度 + 短6度 = 完全11度(完全4度)
ただし、完全があるのは1,4,5,8,11,12,15,…だけなのでそれ以外になるときはこの法則は当てはまりません。
- 長6度 + 長2度 = 長7度
- 長6度 + 短2度 = 短7度
- 短6度 + 長2度 = 短7度
- 短6度 + 短2度 = 減7度
あと完全 + 長 = 長、完全 +短 = 短、みたいな法則もあります。
- 完全5度 + 長3度 = 長7度
- 完全5度 + 短3度 = 短7度
- 完全5度 + 短2度 = 短6度
- 完全4度 + 長3度 = 長6度
- 完全4度 + 長2度 = 増5度
- 完全4度 + 短2度 = 減5度
5度は完全音程なのでそこから半音減った音程は減音程、半音増えた音程は増音程であることに注意しましょう。
まとめ
今回は音程が距離であることを示し、この足し算の定義について書いてみました。音程の表記は「1 origin」であるという考え方を理解すればスッキリすると思います。音楽の教科書でもこの説明、欲しいですよね…。
まさにここが理論ことはじめの段階で血圧がガリガリ上がる原因だったので、整理されてうれしいです。
というか個人的には、短長とか完全とか増減とかの表記もむしろややこしいのでやめて欲しい。
素直に原点0の距離で言ってくれれば、それぞれの意味付けは勝手にこちらでやるのになあ…
そうですね。まあ、いまの呼び名は純正律のときの名残なのでしょう…。あと、ピアノをやっていると三度なら、1の指で押したときに3の指で押すと三度、五度なら1の指で押したときに5の指で押すと五度、みたいな鍵と鍵との距離感に合致するので都合がいいのかも知れません。
やね音楽理論では、音階の見直しはしませんか?
既存理論がどうも12分割ありきなので、5度が宿命的に汚く、アナログ精度な楽器(弦とか声とか)の絶妙なごまかしで成り立っているのが不満です。
個人的にはオクターブ31分割が、完全5度も長3度もかなり美しく鳴るので、新時代のスタンダードに良いかと思うのですが……。2^n-1というのも何か宿命的なものを感じます。
19分割だと完全5度は綺麗だけれど、長3度が劣化しますし、43分割は細かすぎて、扱いが難しい気がします。
新時代の音楽は、そろそろ本格的にリアル楽器を葬る(もしくは見直しを迫る)ものであって良いと思うので、余裕があれば、音階からの見直しを期待しますよ~。なにがしかの理論的なお手伝いはできるかも知れません。
どうせDTMでやるなら(12平均律の次は)53平均律だと私は思っているのですが、12平均律の完全五度、致命的と言うほどに響きが汚いとは私は思ってなくて、まあ、いまどきの若者はこの響きに慣れてるからさほどマイナスではないのかなと思っています。53平均律を採用すると、普通の曲だと、むしろ他調の和音を借用しにくくなるデメリットのほうが大きいのかなと。
それとは別にブルーノートなどで使うための微分音があったほうが良いとは思うのですが、私にはそれを活かせ無さそう…。
あ、上記のちょっと訂正です。なんかとっちらかってますね。
31分割のメリット
・3次・9次倍音との協和は現状維持
・5次倍音との協和はかなり改善(ここが元々かなり汚い)
・7次・11次倍音との協和は恐ろしく改善(元々は該当音程がない)
という感じです。久々に音楽のことを考えたら、色々とっちらかりました。5次倍音との協和と完全5度を書き違うという大ポカです。
適当に発言消して頂いて構いません……。
11thはavoid noteという話も、音階を変えるだけで恐ろしく変わりますよフフフ。
長3 + 長3 = 短6 引かなくてもいいやつがあった。
上のコメント読んで思ったんですが、
12音階でも、音階ごとのピッチベンドがあると、いろいろ使えるんじゃないかなぁ。
今のままでも、トラック分けすればいいんですが、それはかなりめんどい。
長3 + 長3 = 増5度ですね。
> 音階ごとのピッチベンドがあると
音高ごとのピッチベンドの意味かな…つまり、MIDIロールでドレミと打ち込んだときに、ミが♭ミになる機能みたいなもの。ピッチシフターのプラグインで出来そうではありますが、お手軽に出来ると便利かも..まあ、Auto-Tune7で近いことは出来ますね。