メロディに働く重力

メロディに働く重力

ここではメロディに働く重力について考えみよう。メロディはこういう力を受けるというものを重力と呼んでいる。

自然なことは良いことではない!

自然であることが良い音楽とは限らない。その自然さに対して抗いつづけるのもまた音楽である。

そもそも自然な状態が良いと言うなら、音なんて全くない状態が自然なのである。しかしそれでは音楽とは言いがたい。

例えば、メロディラインとして何が自然であるかを知っているなら、メロディラインは自然な進行にして、和音だけやや強引な進行にすることができる。そうすることで和音進行が不自然であることの違和感がやわらぐのだ。

このように音楽を構成していくとき、何が自然であるかを知っていることはとても重要なことなのである。

落下する力

高い音は下に落ちようとする。低い位置に戻ろうとする。高い声を張り上げ続けるのが辛いのと同じで、高い音は落下するのが自然である。

反復する力

「ドレミー」というメロディが一度来たら、これを反復したり、「ドレミレー」と末尾を変化させたりして前のメロディを踏襲していくと自然である。

逆に同じメロディが繰り返されるとき、人間は何か変化が欲しくなるので3度目ぐらいの繰り返しで何らかの変化を要求するのが人間である。(そういう重力が働くと思って良い)

また、同様の理屈で同じリズムが反復されるのを期待するというのもあるが、どこかでその反復から抜け出したい気分にもなる。ただし、これはメロディの反復ほどは不快ではないのでずっと同じリズムユニットのまま一曲終わることも多々ある。

現在のスケールから受ける重力

特に導音。これは半音上の主音に解決したがる。そういう重力があると言っても良い。11thも半音下がってM3に解決しようとする。近くにある、低次の自然倍音に解決しようとする。そういう力を受ける。

現在の和音から受ける重力

メロディは現在の和音の方向にも引っ張られる。和音のコードトーンに解決しようとする。

重力の強さ

受ける重力の強さは、時間に比例する。例えば、C major scaleでC△7に対するファの音はアボイドノートであるが、このファの演奏時間が長ければ長いほど受ける重力は強くなる。短い演奏時間であれば不自然には聴こえない。

その他

メロディ以外の話も含まれるが、その他の重力として次のようなものが考えられる。

  • メロディは跳躍後、跳躍した方向と反対方向に移動したがる。
  • 2つの声部があると反対方向に進みたがる。
  • ベースラインは半音下降したがる。次いで、完全4度上に進行したがる。

など枚挙いとまがない。

いま構成されている曲がどんな力を受けて作られたメロディなのか、コード進行なのかなどについて考えると意義深い。

調と和音の両方から重力を受けるということは?

C major scaleの曲があったとして、いまメロディがミだとする。現在の和音がG7だとする。このミは、G7にとって13thである。メロディが現在の和音の何番目の音であるかを考えることによって、和音に対してどのようなメロディがマッチするのかが感覚として身につくようになるので、このような訓練は必須である。

C major scaleにとってミが3番目の音(ドレミファソラシの3つ目)であると同時に、G7にとっての13th(6番目)の音である。先にも書いたように、メロディはC major scaleの重力と、現在の和音G7に対する重力の両方に引っ張られる。(他にも様々な重力が働くが、それについてはいまは考えないものとする)

例えば、F△7という和音があったとして、C major scaleから見るとこの和音はIV△7であるが、F major scaleから見るとこの和音はI△7である。そうなってくると、同じF△7ではあるが、現在の調がC major scaleであるかF major scaleであるかによって良いメロディラインが変わってくる。それは、メロディラインに対してC/F major scaleからの重力が作用するからだし、別の言い方をすれば、I△7のメロディらしいメロディ、IV△7のメロディらしいメロディというものがある。

機能和声では、I,IV,Vに対して勝手に役割を押し付けている。Iは静的、Vは動的であるだとか、IVが女性的、Vが男性的であるだとか、そういうイメージを前提に音楽が成り立っている。そう考えたときに、Vが来ているなら男性的なメロディ、IVが来ているなら女性的なメロディというようにI,IV,Vのどの和音であるかによってメロディラインが変わってくるのは自然である。

いいメロディを作るための参考書籍

どういうメロディが聴く人の心に響くのかを考えるのは「旋律法」などと呼ばれている。私が読んだなかで特に参考になった書籍を紹介しておく。

この本の内容は、プロの作曲家ならば無意識のうちに習得している内容だと思うが、それを的確に言語化して説明してくれているこの本は貴重。

書籍、あとで追記します。


作者 やね うらお

BM98,BMSの生みの親 / ヒルズにオフィスのある某社CTO / プログラミング歴37年(5歳から) / 将棋ソフト「やねうら王」開発者 / 音楽理論ブログ / 天才(らしい) / 毎日が楽しすぎて死にそう

コメント (2)

  1. やもたん。

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